路々

SHOAH ショアの路々のレビュー・感想・評価

SHOAH ショア(1985年製作の映画)
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24.02.02-03 04

印象的だったのは、具体的な数値を聞くところからランズマンが話を始めること。
ある意味で中立的で答えやすい質問から徐々に記憶を引っ張り出してくる。「あなたが覚えていることを教えてください」というような引き出し方ではなくて、数値によって(あるいは実際に現地にいくことで)当時の状況に(想像の上で、あるいは実際に)身を置かせることで語らせている。
その手法が面白い、と感じた。

ホロコーストにかんする知識があまりなかったために、多方面から証言されることで重ね塗りされるかのように、ホロコーストの内実が浮かび上がってくる感覚は新鮮だった。9時間半という膨大な量によってさらされることで、こちらが意図せずとも、解像度があがっていく。量はあなどれない。

「大量虐殺は良くない」という価値判断(これは当たり前に正しい)に従う身振りをしつつも、語りから漏れるユダヤ人に対する「素朴な」差別意識も印象的だった。
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