Shu

十三人の刺客のShuのレビュー・感想・評価

十三人の刺客(2010年製作の映画)
3.5
三池崇史監督版「十三人の刺客」を観てきた。
「武士道とは死ぬこととみつけたり」この精神が全編を貫く男の映画だった。ストーリーは単純明快。極悪非道なバカ殿様をやっつけよう!って話しだがそのトーンは恐ろしくも狂気。
人は何のため生き、死ぬのか 平和な時代の武士の生き方への模索。民衆の平穏な暮らしを守るという大義を得た武士たち。主人公の新左とバカ殿の家臣、半兵衛の武士の大義対殿への忠義というコントラストが面白い。
何をしてもおとがめ一切無い生きている実感をえられないバカ殿。それらを如何にリアルに見せるかがこの作品の肝だったんじゃないかな。決戦場所のひなびた村のオープンセットはクランクインの一年前から建てといて自然劣化させたり、103人対13人の斬り合いで当然数人斬ったら日本刀なんて刃がすぐぼろぼろになる。よくある時代劇ならそんなところスルーするのにこの作品は村の至る所に予め刀をたくさん刺しておいてすぐに
取り替えられるようにしていたり、随所に細かいリアリティを感じた。そういうの好き!
一部ショッキングな描写があってこりゃ大人でもトラウマになる人はなるかも。


注意:以下ネタバレあるかも


かっちょいいのが新左の甥の新六郎とおえんの会話。
決戦に出掛けるときに自分の女にこう言った。

新六郎「俺、一度本気で生きてみたくなった。出かけてくる」

おえん「あなた!私はイヤ・・・いつお帰りになりますの?」

新六郎「早ければ一月足らずで帰ってくる。

    遅ければ次のお盆になるだろう…迎え火たいて待っていてくれ」


かっちょイイ!このセリフに痺れた!
そして何シーンかで感じた「七人の侍」テイストはオマージュなのかなんなのか。まぁそれは置いといて三池監督もやれば出来るじゃないかと思ったのもつかの間、我慢出来なくなったのか、伊勢谷と岸部一徳のあのシーン。とか、首に刀が刺さったのに・・・なヤツとかさすが三池!期待を裏切らない男!

(2010年10月28日レビュー転載)
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