サーフ

オール・ザット・ジャズのサーフのレビュー・感想・評価

オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)
3.7
この映画のメガホンを取ったボブ・フォッシーの自伝的作品。ひとりの男の人生をミュージカルに乗せて描いてゆく。

1人の男が死ぬまでを描いた映画なのでテーマそのものは結構シリアスと言える。ただ映画全体の印象としては重たさはそこまでない。歌とダンス、ミュージカルの醍醐味、楽しさはしっかり描かれているからだろう。
女、酒、ドラッグと欲望のままに生きる主人公も刹那的な生き方を感じ、だからこそ湿っぽさは感じないのかもしれない。

ミュージカルシーンの見せ方も色々あって、中盤のリハーサルのシーンでは余計な装飾なしでのダンスシーンはめちゃくちゃダンスのキレあってダンサーの動きに見惚れる。
逆にクライマックスのミュージカルは「これぞミュージカル」と言うようなギラギラの装飾、とにかく華やか。素材の味と最高の味付けどっちも楽しめる感じ。

演出は結構前衛的。ミュージカルで描かれる幻想と病床の現実。それが一つの画面内で描かれる。監督自身がやりたい事、やれない事や今後やれなくなる事、監督自身の悲痛な叫びなこの画面に表現されているように感じた。
断続的に挿入される主人公と美しい天使のシーン。生と死の間を描いたこのシーンも直接的には描かれないが、確実に「死」を描いていることが分かる見せ方は好き。
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