ダイセロス森本

ONCE ダブリンの街角でのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)
4.8
ただふたつ上でハーモニーを重ねるだけなのに、ぞわぞわっと鳥肌がたつ。これこそ音楽の魔法。
このレコードが今後どんな風に彼らの生活へ影響を与えるのか…。音楽は、国境や言語を超えて共感できるもの。音楽を最大限に魅せ、「だから音楽って最高なんだよ」と訴えてくれる作品はやっぱり好き。音楽やっててよかったなあといつも思う。言葉が話せなくても、音楽ってその奥でつながることのできる、”全ての人間の言語”なんだなあ。

撮り方がとても自然で、ホームビデオをずっと見ているような気分。画質もそれなりだし、音楽だってそこまで最高な作りなわけではない。即興でできるような簡単なメロディを何度も何度も、しつこいほど繰り返す。最初ふたりが出会ってギターとピアノで弾く曲(最後にも流れる)なんて、メロディは4つの音しか使っていない。だからこそ覚えるし、アレンジしやすいし、誰もがわかりやすい音楽。

チェコだかどこだか忘れたけれど、一応ヒロインである彼女の発音がわっかりにくくて大変だった。ふたりとも分かりにくい。でも簡単な言葉ばかりを選ぶので、やっぱりそれ以外のところは音楽でつながっているのだろうなあと。素晴らしい作品だった。

最後のプレゼントには泣いたんだけど、あの手、何度も見ているはずなのに…なのに…!泣く…!!!!
連絡先すらない、そして、お互い想う人はほかに居る。ほんの数日の奇跡が、またこの作品をよくしているのだと思う。
『BEGIN AGAIN』もそうだけど、必ずすべてが視聴者の思い通りにならないところもまた良い。これこそ、音楽がみせる束の間の魔法なんだろうなあ。

俳優さんが全員知らないっていうのも良い。良いけどやっぱり知っている顔ひとりぐらいは欲しいみたいなところもあるので4.8、もうこれは完全に趣味の問題!。

もっと早くに見ておくべき映画でした。