半兵衛

輪舞の半兵衛のレビュー・感想・評価

輪舞(1964年製作の映画)
3.2
同じ原作でもマックス・オフュルス版よりもエロスが前面に出ているのは時代ゆえかそれとも監督であるロジェ・ヴァディムのドン・ファンぶりがにじみ出ているからか。おかげで優雅な前作とは違い、ポルノ映画のような主人公のエロ話を豪華な女優陣の肌も露な姿も相まってフランス映画らしいエレガントさは残しつつ艶かしく嗜んでいる気分に。

主人公が抱く相手にメイドさんがいたり人妻がいたりするのもエロもののポイントを押さえており、前者は人に奉仕する女性で後者は人のモノである女性でありその二つと体を通じることで征服欲とエロい興奮を満たしていく男の心情は痛いほど理解できる。でもそれがドラマを盛り上げているかというとそうでもなく、男女のやるやらないの駆け引きによるエロ話ばかり展開されていくのでちょっと飽きてくるのが難点(青少年だったらもっと興奮してるかも)。

でもエロトークによる一時の気休めから覚悟を決めて戦争という任務に向かっていくラストはちょっとグッと来た、娼婦が苛烈な世界へ身を投じる主人公へかける最後の言葉は『肉弾』の笠智衆の台詞にも通じるものがあり胸をうたれる。
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