彗星の如く現れて流星のように消えていった伝説の女性シンガー、ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー作品。ジャニスの活動期間は1966年から1970年まで。27歳のときにオーバードーズで亡くなっている。
本編内容は、インタビューとライブ・パフォーマンスを収めている資料的映像集という印象。楽曲の意図を本人が説明してくれるのだが、現行のDVD版では歌詞の字幕が出ないため、真意を汲み取ることが難しくなっている(過去のVHS版は字幕あり)。
ジャニスは、持ち前の感受性の高さにより、自身を精神的に追い込んでしまうタイプの典型例。信仰に縛られた生活が反骨を呼び覚まし、劣等感(とくに容姿)が愛情を欲する人格を形成させた。人前では姉御肌を演じているけれど、内面は脆弱な女性に過ぎない。
ライブ中のジャニスは、まるで神がかり状態になっているシャーマンのよう。たとえ既成曲であっても、歌い手の魂を宿らせて、自分のものにしてしまう。口からエクトプラズムを吐き出しながら歌っているように見える。