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歌姫カルメーラのmhのレビュー・感想・評価

歌姫カルメーラ(1990年製作の映画)
5.0
フラメンコ映画の第一人者が手掛けたスペイン内戦当時の旅芸人(軽演劇)を題材にしたシニカルコメディ。
「ペーパーバード 幸せは翼にのって(2010年)」では大所帯の劇団だったけど、こちらは三人ユニット。
自らもどっぷり人民戦線側の活動家で確信犯的にフランコに逆らっていた前者にくらべこちらは刹那的。
ガソリンを盗むためにファシズムの勢力下に入り込んで捕まってしまう。殺されなければ何でもやりますでも、カルメーラの機嫌が悪かったからつい感情的になってやってしまったという展開。PMSが原因で殺されるとか現代の作劇作法に照らし合わせると少しむずむずするけど、このあたりはまあしかたないか。
ファシズム側は残虐だから逆らったら殺されるという扱いになっていた。
構成は見事で、序盤の幸せな慰問公演が伏線になってて、終盤の命をかけた公演が生きてくる。
歌や踊りをたっぷり見せてくれたのもよかった。
けっこうよく見る、言葉を失ったひとが、ラストに声を出すとかべたべただけど、これに関してはとてもうまい。
墓に花を手向けるのもいいシーンだった。

ほか、メモ。
・朗読するのはアントニオ・マチャドの詩。
・人民戦線側の国際旅団に参加しているポーランド軍の兵士。
・イタリア軍が統治している町。

VHSしか見る手段ないけど、かなりいい戦争映画!
面白かった!
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