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赤い砂漠のあのレビュー・感想・評価

赤い砂漠(1964年製作の映画)
4.1
霧の中で全員が完全に静止したように見え、霧が立ち込めてきて誰も見えなくなるあのシーンに全てが詰まっていたような気がします。これに「分からない」は流石に...

世の中の潮流に概ね心地よく流されてきた夫やコラドたち側の人たちなのでしょう。それなら無理もありません。ただ、脈絡がないからこそ不安なのに、ストーリー性を求めるのは流石にどうなのよ...

コラドの「良き理解者になろうとしているけど、本当にどうして欲しいのか理解できなくて困っている人」描写がリアルすぎると思うのですが、そういうのはあんまり皆さん思わないんですね...

しかしながら、何もない部屋の角や、見つめていた路地にたまたま現れた人にまで意味を持たせるワンショットの力は凄まじいものがありましたが、一方で切り返しかと思ったら違うシーンに飛んでいたり、「(夫に)会いに行くか」というセリフの次に別の人物を出したりと、シーンの繋ぎは不親切で、特に前半は若干の違和感がありました。

関係ないですが、YouTubeに上がってた日航機墜落事故のNHK特集のあまりにも怖すぎるBGMがなんか本作のものと似てました。

事故から2週間後(作るの速すぎ)のものだったからか、終始事実のみを伝える淡々としすぎてかえっておどろおどろしい語り口、最後機体後方に座っていた方が書かれた遺書で幕を閉じる構成も、黄色い煙を吐く煙突で唐突に終わる本作からどことなく似ているような気がしなくもなかったです。

ジュリアーナは飛行機に乗るとなったら異常に恐がるでしょうが、いざ墜落するとなったら満足感を覚えそうだな、と不謹慎にも連想してしまいました。ある意味皆が究極的に運命を共有するわけですからね。
あ