ポケ文太郎

マジック・ランタン・サイクルのポケ文太郎のレビュー・感想・評価

4.7
黄金期のハリウッドゴシップを綴った『ハリウッド・バビロン』の著者であり、黒魔術師アレイスター・クロウリーに傾倒していた事でも有名なケネス・アンガー

彼の作品集『マジック・ランタン・サイクル』がHDリマスター版Blu-rayとして発売されるのに先駆けて、9作品をA、Bふたつのプログラムにわけて上映!
という事で一気に鑑賞してきました


【A_Program 】
悪魔的イメージサイド

『ルシファー・ライジング』(72年)
アレイスター・クローリーに捧げられた作品
一番知られていて一番好きです
マンソンファミリーのボビー・ボソレイユが出演している事でも有名ですが、マリアンヌ・フェイスフルが古代エジプト神話のリリスを演じ、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジがカメオ出演、とアンガー氏の人脈がうかがえます

『快楽殿の想像』(54年)
50年代の作品なのにサイケデリックな雰囲気のアシッド・ムービー

『我が悪魔の兄弟の呪文』(69年)
ミック・ジャガーが音楽を担当‼︎

『人造の水』(53年)
青いフィルターを通して撮影された水の映像


【B_Program 】
フェティッシュサイド

『スコピオ・ライジング』(63年)
音楽と映像のコラージュ、MVの原型と言われている作品
60年代当時のポップス13曲が使用され、革ジャン、スタッズ、テレビに映るマーロン・ブランドにジェームズ・ディーンの写真そしてバイクに乗る若者達の姿
言わずもがな…です

『K.K.K. Kustom Kar Kommandos』(65年)
パフで車を撫でまわしているだけに見えますが…4分と短いのに氏の嗜好を上手く撮ってます

『プース・モーメント』(49年)
49年の作品とは思えない色彩
カラフルなドレスが踊っている

『ラビッツ・ムーン』(50年)
青いフィルター越しで撮影された白いピエロと月と娘

『花火』(47年)
17歳の時に撮影した処女作‼︎ 主演は監督ご本人‼︎
トム・オブ・フィンランド以前だからマッチョのイメージは水兵なのか?!
趣向の表現が当時としてはストレートパンチすぎてポルノ扱いされ、わいせつ容疑で逮捕された曰く付きです

本作をきっかけにアルフレッド・キンゼイ氏と交流が始まったそうで…
やっぱりアンガー氏の人脈って凄い

全作品セリフはなく、ストーリーらしいストーリーもない
集中して見ていないといけないので、すっごく疲れる
確かに実験的でアンダーグラウンド映画と呼ばれるのも納得です

古いのに古さを感じない…
なんとも不思議な余韻を残すアンガー氏の映像集でした
Blu-ray購入しちゃうだろうなぁ…
ポケ文太郎

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