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ヒンデンブルグの一人旅のレビュー・感想・評価

ヒンデンブルグ(1975年製作の映画)
3.0
ロバート・ワイズ監督作。

1937年に発生したヒンデンブルグ号爆発事故を題材としたマイケル・M・ムーニーによる1972年発表の同名小説を巨匠ロバート・ワイズが映画化したもので、主演にジョージ・C・スコット、相手役にアン・バンクロフトを迎えています。

本作は、ドイツ・フランクフルトを発ち、アメリカ・NY近郊のニュージャージー州レイクハーストへと向かったドイツ製の大型飛行船「LZ129 ヒンデンブルグ号」が着陸直前に爆発炎上し、36名の死者を出した未曾有の大惨事を題材とした航空パニックで、現在では静電気の放電による発火炎上が事故原因として最有力視されていますが、本作では爆発の原因を反ナチス活動家による破壊工作であったと結論付けています。

いわゆるグランドホテル形式を採った航空パニック映画で、ジョージ・C・スコット扮するドイツ空軍大佐が様々な事情を抱えた乗員乗客たちの中から真犯人を絞り込み爆発を阻止すべく奔走する様子を描いた群像推理サスペンスを主軸として描いています。ただ、爆発のかなり前段階であっさり犯人を特定できてしまうため、群像推理モノとしては物足りない印象ですし、多数の登場人物それぞれの人物像の掘り下げも明白に不十分です。

それでも、当時の実際の記録映像を交えた爆発炎上&墜落のクライマックスは圧巻のスペクタクル映像を実現していますし、『大空港』(1970)、『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)、『大地震』(1974)、『タワーリング・インフェルノ』(1974)など70年代を席巻した空前のパニック映画ブームに乗った航空パニックスリラーの力作として映画ファンなら一見の価値があります。
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