アメリカがイラクを攻撃した理由は、
1.イラクがアルカイダを支援していたから。
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イラクはスンニ派で、アルカイダはシーア派の組織だから、それはあり得ない。
2.イラクがニジェールから核兵器を造る為のウラン を大量に輸入した。
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そんな事実は全くなかった。
という2点だったが、イラクのウラン買い付け調査を任された、中東アフリカ問題専門家のジョゼフ・ウィルソン氏が、この2点を否定する報告書をホワイトハウスに出したが、それを握り潰された。
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当然イラク壊滅後、調査したところで大量破壊兵器は一切見つからなかった。
ウィルソン氏が、政府が戦争をする為に情報操作をしたと、ニューヨークタイムズ紙に寄稿。
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その報復に、なんとウィルソン氏の妻がCIAの職員であるという事実を、ホワイトハウスがマスコミにリークした。
…という実話です。
でも、これ、この作品を単独で観ても、よく分からないです。
この作品の裏側となるホワイトハウス側の話が『バイス』なのですが、
『バイス』はディック・チェイニー副大統領のことをメインに扱っているので、この“プライム事件”は後半ちょこっと出てくるだけです。
この辺の事情は『記者たち』など、複合的に色々な作品を観ないと、全体像が見えてこないくらい難しいです。
本作の感想に戻すと、このジェセフ・ウィルソンさんの奥さんヴァレリー・プライムさんも、ちょうどこの頃、CIA側からイラクが核兵器を保有しているか調べていて、その責任者だったのです。
こんな偶然ってある? ちょっと凄いと思ったわ!
そして、調査する為に一般人の“協力者”がたくさん居たのですが、
ヴァレリーさんの身元がバレたので計画は中止 → 担当者が変われば計画は頓挫 → 協力してくれた協力者たちは切り捨て…、となったのです。
身元がバレて、自分に報復がこないかという恐怖ももちろんありますが、
切り捨てられたイラク内の協力者たちの運命もこれで変わってしまう。
よくこんなプレッシャーのかかる仕事をしながら、家庭で子育てできるなと、そこのところにビックリしました。
ヴァレリーさんのママ友が興味本位で色々聞いていましたが、彼女たちが想像するのは『007』の世界。
しかし、現実は正規職員さえ、簡単に切り捨てられる非情な世界。
もし私がCIAから何らかの協力を求められても、こんな切り捨てられ方をするのなら、絶対関わらんとこ、と思いました(まあ、そんな機会は一生無いでしょうけど)。