湯っ子

秒速5センチメートルの湯っ子のレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
2.3
「パスト ライブス」を観て、初恋引きずり系のお話といえば…なこの作品を思い出す。
ずいぶん前に、深夜にたまたまつけたテレビでやっていてなんとなく見たきり。映像は美しいけど、ささやき声のモノローグが気恥ずかしく幼稚に感じ、うわ〜無理…とチャンネルを変えた。第一話のわりと早い段階でやめてしまったので、ほとんど観ていない。なので、夕飯作りながら観てみるかと再生。短いし。というわけで、今回は嫌さを楽しもうと思って観ました(性格悪い)。

この作品だけ観ると、タカキはずっとずっとアカリを思い続けていたみたいに見えるけど、違うと思う。なんか行き詰まった時とかに取り出して愛でる美しい思い出がアカリとの初恋なんじゃないか。だって本当に会いたければ会いに行けるはずだもん。タカキは現在の、現実のアカリにはあんまり興味はなくて、自分の世界の中にいる女の子が大事なんだ。しかも、たぶんそれなりに毎日がうまくいってる時には思い出さない。

映像は本当にすごく綺麗。空も雲も星も木もとにかくキラッキラしてる。私はこの過剰さが苦手。なんかおおげさなんだよね、景色の綺麗さも初恋の呪いも。だけどこの作品を大切な大切な宝物のように思っている人もいるんだろうな、というのもわかる。そういう人たちにとっては魔法みたいな作品なんだろう。うん、新海監督は魔法使いなんだな。30歳までなんちゃら…という説は本当なのかもね(ごめんなさい)。

山崎まさよしの例の曲はやっぱり名曲だ。あれ聴くと、なんか私にもそんなふうに探しちゃう人がいるような気になるし、そんなふうに探しちゃう人がいるのっていいなと思っちゃう。
湯っ子

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