嫌いだったミュージカル映画を普通に観れるようになるための挑戦 “ミュージカル克服計画”
今回は
「巴里のアメリカ人」
貧乏画家が友人の婚約者と知らず恋に堕ちるミュージカル。
ストーリーは並だけどガーシュインの音楽と拘り抜いたダンスに魅了される。
子供達に囲まれてタップを披露する「I got rhythm」、恋敵と知らずデュエットする「'S Wonderful」、セーヌ河畔でロマンティックに踊る「Love is here to stay」、そしてフランス所縁の有名画家デュフィ、ユトリロ、ルソー、ゴッホ、ロートレックをイメージした絵画に入り込んだような美術と色彩と衣装の演出でコンコルド広場からバスティーユ広場を経る17分にも及ぶダンスが圧巻だった「An American in Paris」、どれも見応え充分。
ピアノの上でも狭いスペースでも誰にもぶつからずダイナミックなタップを見せたジーン・ケリーは素晴らしいの一言。
ケリーに劣らず柔軟な身体でバレエ・ダンスを披露したレスリー・キャロンも良かった。
踊るとは思わなかったおばあちゃんメアリー・ヤングのダンスも意表を突かれ良かった。
ガーシュインの親友オスカー・レヴァントは卓越したピアノプレイを見せる一方でコーヒーやら煙草やらの細かいギャグもかましていて見所。
この映画のためにオープンセットを作ったそうだが、一見してセットと分かってもチープさが全くなく、現代のようにCGで誤魔化せる時代ではないからこそ、その奥行きと細部への拘りからスタッフの職人魂を感じた。
アカデミー賞6部門制覇も当然でしょう。
素晴らしかった。
監督 ヴィンセント・ミネリ
キャスト
ジーン・ケリー
レスリー・キャロン
オスカー・レヴァント
ニナ・フォック
ジョルジュ・ゲタリ