ヨルト

バットマン ビギンズのヨルトのレビュー・感想・評価

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)
4.3
ベン・メンデルソーンがこのトリロジーの最後の作品に出ているというので、せっかくだから1話目から見てみた。

これまでこういう不思議なスーツを着た○○マン的な作品には食指が動かなかった。完全なる食わず嫌い。自分の存在に何の疑問も抱かない心身ともにマッチョな白人男性が、愉快なコスプレ姿でジョークを飛ばし、尺の3分の2ぐらい世界のために戦うというどこにも「わたし」に関わりのないお話、というイメージしかなかったからだ。

Oh...なんと間違っていたことよ。

こんなに全体のトーンが暗いとは夢にも思わなかった。ユング的な恐怖を抱えた存在としての登場人物たち。世界どころか、1つの街、いや自分の家さえ守れない主人公。あのスーツにも十分な理由があった。それどころか作品内でも「やりすぎでは?」とメタ発言まで。勝っても暗い。恋が実っても暗い。最後まで陰鬱。なのにバッドエンドでもない。「あなた」の話であり、「わたし」の話であった。しかも今この世界を生きるあなたとわたしの話であった。

全力で土下座したい。すみませんでした。2作目へ!
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