かに座

バットマン ビギンズのかに座のレビュー・感想・評価

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)
4.0
子どもの頃に観たことがありましたが、再視聴。

当時はただ地味だなあと思うばかりで、スケアクロウのシーンとモノレールが落ちるあたりしか記憶にありませんでした。
やっぱり地味は地味ですが深い渋みを感じますね。

私は原作を知らず、当作はバットマンとゴッサムシティの紹介ムービーだと考えているので、悪役の存在感の薄さはそれほど気になりませんでした。
クレインの異常さは街の歪さをよく体現しているし、黒幕も一つ正義の語り手として良いキャラクタだと思うのですが…。

●善悪について問う脚本は独特のものがあります。
最近流行りの「正義の反対はまた別の正義」という語り口ではなく、それさえも内包した「正義とはバランス」という小難しいテーマ。その複雑な人の内面と外面、裏社会の蠢きの不気味さなどがよく表現されている暗く重厚な画面もカッコイイ。

●父性的なキャラクタの存在が印象的でした。
アルフレッドやフォックス、そして父親。皆ブルースを愛していますが、助言による挑戦への導きと現実的な叱咤激励で表現されています。
他のヒーロー物では味方側に無償の優しさや許しなどの母性が表現され、それらを守るために立ち上がる姿が多いと感じるので、父性もテーマの一つとなっているのかなと思いました。
バットマン自身もゴッサムシティを優しく許そうとは思っておらず、恐怖による注意喚起と叱咤激励が目的です。これは子どもに社会性を教える父親の役割そのものです。

●事件が解決しめでたしめでたし〜となる所で、レイチェルが一つの苦味を落として行きます。
これから始まるバットマンの苦悩、ダークナイト三部作。
大人になった今、ふたたびじっくり観ていきたいです。

※全然関係ないけど、子役の子、GOTのジョフリーに似てる〜とおもったらビンゴー!
初々しい。印象に残るお顔ですよね。
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