Arsenyevich

どですかでんのArsenyevichのネタバレレビュー・内容・結末

どですかでん(1970年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

黒澤明監督作品の中で、何が好きと言われて「羅生門」でも「七人の侍」でも「影武者」でもなく、真っ先に思い浮かぶのが、これ。
好きとか嫌いでもなく、とにかく強烈に印象に残った作品。
何故か?自分でもずっとわからなかった。

この物語の全てを通して、一切の救いも希望のかけらもない。登場人物は皆、最底辺の環境で暮らす風変わりな人々達。
そんな中、六ちゃんと呼ばれる少年が、自分にしか見えない架空の電車をひた走らせる…
ただ、それだけの話なのに。

冒頭の汽車の点検から、出発のシーン、勇ましく汽車を走らせる六ちゃんの姿に、計り知れないくらい心揺さぶられた。この感覚は何なんだろうか。
電車の絵に彩られたステンドグラスのような六ちゃんの家も、無性に創造力を掻き立てられる。
これなんだな、きっと。

今見ても、自分は六ちゃんの電車が見えるだろうか。
Arsenyevich

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