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どですかでんのmetalicheartのレビュー・感想・評価

どですかでん(1970年製作の映画)
3.5
クドカンリメイク版の予習に。

黒澤明初のカラー作品。
見る人を選ぶけど、私は結構好き。
オムニバスであるが、最後に1つと言う訳でないので、この場所のいくつかの風景として見てみる。

瓦礫の山のバラックで、色鮮やかな光景が見れるが、個々の物語がカラフルでも、全てを混ぜると黒になる。
もう掃き溜めに近い。
今ではNGになる話、描写もあって、混ぜたら危険、黒になるのも皮肉だ。
子沢山一家、実は浮気性の妻は、父親の違う子供を産み続け、旦那に育てさせている。
ある夫婦は、隣の家と夫婦交換。
妻の姪に手を出して、妊娠させる男。
浮浪者親子の夢の建築話からの。
まあ、その後どうなるかの後味が諸々だが、まさに色彩の毒を感じる。

その中、知的障害?な六ちゃんが、見えない電車を、どですかでんと走らせている。
六ちゃんだけは、この真っ黒な世界で真っ白である。

キャストはほとんど故人であるが、
有名な方ばかり。
人間の下劣さに溢れているが、何故か爽やかにも感じる。
自分の居場所が何であれ、そこで生きていかなきゃいけない。
真っ黒な世界の、個々の色か見れる作品。

私は、六ちゃんの沢山の電車の絵で、知的障害だった家族を思い出し、涙が止まらなかった。
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