このレビューはネタバレを含みます
虚構と現実。リアルがキツすぎると、理想に逃避したくなる気持ちもわかる。
夜遅くに見たのもあって、ずっとフワフワした悪夢を見てる見たかった。小さい頃に見た、何だか怖い夢を見たけど、それが何だったか起きたら忘れてしまったような感覚に似てる。
映画監督が主人公ってことで、フェリーニの心理的な内情もめっちゃ投影されてそうな作品だったな。
主人公のグイドの色気あって、魅力的な繊細なクソ男感、既視感あるなぁって思ったら、nineの元ネタだったんですね、本作。あの時のもろダニエルデイルイスだったわ。
本作で描かれる女性像が、個人的な胸糞すぎてずっと尾を引くくらい、引きづられてしまった。まぁ、グイドの深層心理での理想は、共感できないけど理解はできるけどきついよ。夢の中での奥さんの描写は、現実と対比的で一番肯定的だったもんね。色んな女に囲まれて、年増は二階に追いやってそんな生活してみたいよね。それに、その描写はあくまでも虚構ではあるから、描かれること自体には問題はないもんね。
人生は祭りだ、共に生きよう。僕のことを全肯定してくれ。個人的に、奥さん本作の中で一番好きな女性像だったから、もっと大切にしてほしかった。
ただ、映像美は本当に圧巻で、最初の夢のシーンからずっと世界観に没入しっぱなしだった。西洋系のカメラワークって、セット自体の部屋が広いからすごく大胆に動きまくる気がしてたけど、こんなにも動きまくるワーク珍しい気がした。
話してる人が代わる代わるで、それに沿ったカメラワーク、すごかったなぁ。あと、夜の室内の役者の表情にあてる照明がむっちゃ綺麗だった。シルエットと光の扱い方がマジで絵画見てるみたいに芸術的だったな。あと、二分割でめちゃくちゃ人をアップにして、もう片方は遠方で小さく人を見せる構図の多様。これも、この監督の手法の一つなんですかね??
割とみてからずっとフワフワ考えちゃう、幻想的で綺麗な悪夢っぽい映画だったな。