映画大好きそーやさんさんの映画レビュー・感想・評価

映画大好きそーやさん

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SEPIA NOTES(2023年製作の映画)

2.8

ガラクタな過去と歩む、今とこの先。
本映像は楽曲の牽引力が強く、MVに近い印象がありました。
しかし、今回はFilmarksの分類通り、ショートフィルムとして鑑賞した所感を綴っていきたいと思います
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マルルクちゃんの日常(2020年製作の映画)

3.6

エロティシズムとフェティシズムに泣かされる、小さな日常オムニバス。
本作は、『メイドインアビス 深き魂の黎明』という、アニメーション作品として製作された『メイドインアビス』の劇場版、その「観る入場者
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愛に手を差し伸べて(2016年製作の映画)

3.3

ファンタジックハイテンションラブコメディ!
本作は、鑑賞のチューニング合わせに苦労しました。
大筋としてはベタな恋愛もので、内気な男女の恋が成就するまでを描いています。
ただ本作の特色は、ストップモー
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ちゅうちゅう(2015年製作の映画)

2.4

サイケデリック生命賛歌。
冠木佐和子以来のサイケデリックアニメーションでした。
音楽とのシンクロというアプローチも冠木佐和子と被る要素ではあったのですが、個人的には冠木佐和子の方が洗練されている印象が
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Bico(2004年製作の映画)

2.1

ズルさの目立つ、雰囲気ドキュメンタリー。
本作は、近年の数々の傑作ドキュメンタリーにあった、説明以上の情報がなく、単体映像としての貧しさばかりを感じる内容になっていました。
音楽含め、「雰囲気」は確か
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クジラの背中で話すコト(2023年製作の映画)

3.7

1番に考えるべきもの。
どうせならと、恋愛ものをもう1本レビューすることにしました。
本作は、『夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト』のような鋭いテーマ性をもっている訳ではありませんが、純粋に恋愛
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夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト(2004年製作の映画)

3.8

埋まらない差を思い知らされる失恋。
本作は、アカデミー賞で脚色賞を受賞した『ジョジョ・ラビット』や、MCUのソー単独作(3作目以降)で有名な、タイカ・ワイティティが手がけた少年少女の恋愛ショートフィ
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じゃあね!また明日。(2023年製作の映画)

3.1

何気ない言葉の力。
本作は、受験という外部の評価軸との対峙によって、自分がもっているものを考え始めてしまった晴香(夏生ひまり)と、同級生である秀一(大原由暉)が一緒に帰る様子を切り取った青春ショートフ
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(2025年製作の映画)

4.1

〈2025/2/25加筆修正〉
自らの「終わり」に思うこと。
本作は、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』や『ファーストキス 1ST KISS』を観て尚、私の2025年新作ベスト1位に君臨し
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ルート29(2024年製作の映画)

3.4

空っぽを照らす太陽。
本作はアーティスティックなアプローチに終始し、観客の想像力に依存する作劇となっていました。
映画に限らず作品は、具体と抽象のバランスで成り立つと考えています。抽象の割合が高く
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ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ(2024年製作の映画)

4.2

〈2025/2/21加筆修正〉
脱力系サブカルマシマシ殺し屋コメディ、シリーズ3作目!
本シリーズお決まりの文言から始めましたが、本作においてはその側面もあるにせよ、そこから派生したドラマ面が強化さ
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血縁(2024年製作の映画)

3.2

AIの完全性が暴く家族の本音。
本作は、娘のレイラと息子のアリが退院したばかりの母親の見舞いに行くと、介護ロボットのエリョと一緒に暮らし始めたことが発覚するといった内容となっています。
本筋に据え
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一分間タイムマシン(2014年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

ナンパやり直し不謹慎コメディ!
本映像は、男性がタイムマシンを利用して女性へのナンパを何度もやり直す様を滑稽に描いた内容となっています。
しょうもないミスで何度もリセットをかける情けなさは言うまで
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くも(2024年製作の映画)

3.4

その命に意味はあるのか。
本作は全体から醸し出される優しいオーラに癒され、最後にはほろりと泣かされてしまう1本です。
キャラクター化された雲の造形はシンプルで落ち着いていながら、有無を言わさぬ可愛
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NEO PORTRAITS(2023年製作の映画)

3.7

AIの過渡期だからこそ描けた、テクノロジーとの曖昧な距離感。
本作の舞台は近未来の田舎であり、日常にテクノロジーが定着している様がごく自然に切り取られていました。その辺りの近未来描写は現実でも有り得
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アラーム(2023年製作の映画)

3.4

混沌たる仕事のリアル。
本作は、建設現場の責任者である主人公が現場と家庭の板挟みに遭いながら、両方の均衡を保とうとするお話です。
仕事をするということは、1つのタスクを熟すだけという訳にはいきませ
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妻の電池切れ(2023年製作の映画)

2.5

SFを用いて描き出す、夫婦の末路。
本映像には随所にSF設定が確認できるのですが、それらの諸設定は非科学的と言える夫婦の関係性へと重ねられており、どことなく飲み込み難さを感じる私がいました。その点こ
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逢魔ヶパレヱド(2017年製作の映画)

3.3

少年が目にしたものは。
私が2024年の新作ベストに入れた『クラユカバ』でお馴染みの、塚原重義監督のショートフィルムです。
世界観で言うと、件の作品と共通するところもあり、2分43秒と短いながらも
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あまねにっき(2021年製作の映画)

3.8

実際の「にっき」を元に展開していく、奇想天外なアイデンティティ確立譚。
本作は監督のイメージが先行しており、目は楽しいながらも、見づらさが付きまとう作品でした。ミスリードとして読み取れる箇所もあるの
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フミコの告白(2009年製作の映画)

3.7

電光石火の恋路。
本作は2分33秒という短い尺の中で、少女の恋する気持ちを体現する疾走アニメーションを、これでもかと見せつけられます。観ていると、まるでアトラクションに乗っているかのような爽快感を感
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夜を越える旅(2021年製作の映画)

3.5

喪失と対峙するとき。
『断捨離パラダイス』で虜になった、萱野孝幸監督が手掛けた他の作品をようやく観ることができました。奇しくも彼のフィルモグラフィを遡っていくかたちで鑑賞しているため、このまま『電気
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サマーゴースト(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

〈2025/2/9加筆修正〉
自由なる「死」と、「生」の受容。
本作は「死」というものを多面的に捉え、「生」にどう向き合っていくのかを描いた青春群像劇でした。
群像劇とは言ったものの、メインには友
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520(2023年製作の映画)

3.6

「愛」に障壁がある4人が紡ぐ、バレンタインの1日。
本作は短いながらも、優しいルック、柔らかなタッチのアニメーションと、4人のキャラクターが織り成すドラマによって、描かれたもの以上に深いものを受け
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なま夏(2005年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

アイデンティティの破壊と再生。
本作は歪ながらも、1人の男性の成長、ひいては自己の確立を描いていました。
冒頭から中年男性の自慰行為で始まるため、その時点で引いてしまう方も多いかと思います。
ですが、
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とっくんでカンペキ(2012年製作の映画)

3.2

甘酸っぱい第1歩。
過去に1度鑑賞していたのですが、レビュー執筆の時機を失していたため、改めて再鑑賞しレビューをしたためさせて頂きます。
本作は、彼女とのデート前にキスの練習をしていた男の子が、本番の
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カメラマンの家で(1900年製作の映画)

3.3

写真撮影における妨害大喜利。
これまでリュミエール兄弟の映像群は沢山観てきていたのですが、アリス・ギィの映像は初挑戦でした。
結論から言うと、私のお気に入りである『水をかけられた散水夫』や『変化する帽
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ベッドの下(2014年製作の映画)

1.8

普遍的なブラックボックスと、良い角度のあり得ないもの。
最近は長編ばかりを相手にしていたため、大分と疲れが溜まっていました。少しばかりでも疲れを癒すために、ショートフィルムを取り扱おうと思います。
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ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.3

音楽と原体験が肯定する今。
本作は鑑賞が遅れてしまったことを後悔するほどに、泣きに泣かされた1本でした。
『知らないカノジョ』のレビューでも指摘した「人生の1回性」についての映画として、序盤から中盤に
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.8

「映画の力」を信じること。
169分の中で冗長さを感じる場面もありましたが、全編の画作りや撮影は、寡作の巨匠ビクトル・エリセの名に恥じず眼福でした。
私は監督作が初鑑賞であったため、監督の人生が反映さ
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知らないカノジョ(2025年製作の映画)

3.6

「もしも」で突き付けられる、「人生の1回性」。
Filmarksの試写会に当選致しましたので、一足先に鑑賞させて頂きました。
本作の褒め要素は映像の綺麗さ、撮影の自然さが際立っていた点と、シンガーソン
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.2

ディストピア的世界観で語る、現実世界における革命の寓話。
本作は世界観の確立された作品として、非常によくできていたと思います。
アニメーションはやや紙芝居的ではありますが、ある種それが絵本的なタッチの
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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.4

人生に求めることと、愛にできること。
本作が、初のミヒャエル・ハネケ監督作でした。
GEOでレンタルしたにもかかわらず、途中で再生できなくなってしまい、結局中古のDVDを購入することになった思い出
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処女の泉(1960年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

皮肉に満ちた神の奇跡。
イングマール・ベルイマンの作品は、これで5作目となります。
本作は宗教色が強く、前提知識を必要とする敷居の高い作品でした。
それ故、本レビューを書くにあたって再鑑賞を行う際、付
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死体の人(2022年製作の映画)

3.9

何かを残すには。
本作は、死体役ばかりの売れない俳優である吉田広志(奥野瑛太)が下手ながらも生きることと向き合い、デリヘル嬢の加奈(唐田えりか)との出会いによって、一世一代の大芝居をすることになるとい
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アット・ザ・ベンチ(2024年製作の映画)

3.7

1つのベンチで展開される、リッチな会話劇オムニバス。
本作を観た多くの映画好きがジム・ジャームッシュの諸作品を思い浮かべたかと思います。あるいは、本好きなら星新一の短編集の手法を想起させた方もいたか
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式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

3.4

確実性のない、妄想的現実からの脱却。
本作は、鑑賞から時間が経った今でも鮮明に、物語展開や画の切り取り方、俳優陣の演技の様を覚えています。
そこには文学的な感触があり、その余白を自分の中で調理して考え
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