アラシサン弐

8 1/2のアラシサン弐のレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
3.8
何一つ理解が追いつかなかったのに全てのシーンが脳裏に焼き付いてる不思議な映画。

一回目の鑑賞で何も理解できず、
解説等を拝読してからの二回目でクリエイター生活の苦悩の一端と、それに対する監督の自問自答を描いていると理解すると何となく入り込める。

本人は重圧で病んでいても周囲はそんなこと関係無しに近づいてきて役を求め、自分の知らない所で話が進み、愛人には心理を見透かされ、妻との関係も墜落しかけてる。
ただ、本人も憧れの女優をずっと追いかけてて、その事を表に出さないことで結局全てを停滞させて自分を追い詰めていく様が何とも哀愁が漂う。

突然幸福を見つけるきっかけも特に見えない。
説明したくても出来ない、と台詞にあったけど本当に出来ないんだろうな。
シュールでカオスな祭の輪に、妻と手を繋いで入るのは人生をもっと楽観的に生きていくことの希望にも感じるし、完全に吹っ切れて精神が終わってしまったようにも見えてくる。

どのカットをとっても不可思議で変。
ハーレムや記者会見のワチャワチャ感も凄まじい熱量で引き込まれるが、個人的には浮浪者みたいな女性にルンバ踊らせて教祖にドヤサれるまでの一連がお気に入り。

ラストカットがシュールでかわいい。
アラシサン弐

アラシサン弐