イシ

8 1/2のイシのレビュー・感想・評価

8 1/2(1963年製作の映画)
5.0
私は女だけど、この映画を男の芸術家の苦悩の映画としてあんま見たことがない。
グイドが最後に希望を持つところでいつも同調して希望を感じる。

映画にたくさんのものを与えられて、映画と共に生きてきて、映画に愛されたグイド(フェリーニ)が、じゃあどうやって映画で人に愛を返せるのかってずっと悩んでる。
ちゃんとすべてを愛せるのかって普遍的なことで悩んでるのがわかるから、年齢制限がきた女は2階へどうぞってシーンでも腹が立ったことないな。

最後にグイドが、映画を撮ることを一度あきらめるって決断したとき、白い衣装をきた彼の愛する人たちがたくさん歩いてきて、すると彼の中にだんだん希望がわいてくる。いつもそこで、映画をみてる私の中の欠けたところまでが少しずつ満ちてくのがわかる。

「人生は祭りだ、一緒に生きよう」
フェリーニは私が物心つくころに亡くなった人で、この映画も私の生まれる前にできた白黒映画だけど、でもこの映画は、観客の一人である私に、明日も一緒に生きようって言ってくれた感じがする。自分たちも映画を見てそうしてきたからって。

この混乱が私で、あなたでもあり、人であるなら、ただそれだけのことなんだから、きっとこれからも一緒に生きられる。
分かり合えなくても愛せる。
そう言ってくれる気がする。
そんな映画のおかげで、私はまた人を愛せるんだと思う。

---

寝るのわかるーおもろいおもろくない関係なく寝るときは寝るよね。以前2回目見たときにちょっと寝た。
イシ

イシ