ヴィクトル・ユーゴーの同名小説の映画化。"せむし"は不適切な表現のため、最近のリメイクでは「ノートルダム・ド・パリ」や「ノートルダムの鐘」になったりしている模様。江戸川乱歩や安部公房の小説ではせむしは奇怪な人間の象徴的な存在として登場している。
「天井桟敷の人々」、「王と鳥」のジャック・プレヴェール脚本作品をたどる。
つらい。これでもかというくらいに人間の醜さが悲劇的に描かれていて何の救いもない。15世紀、異端は徹底的に排除して殺す魔女狩りの様子が残酷すぎて見ていられない。ここで描かれているように、快楽で誰かを生け贄にすることもあったのだろう。正直者はバカを見るような世の中、最後までカジモドはエスメラルダの眼中にないところがリアル。
「道」のザンパノ役が印象強いアンソニー・クインはここでは片目のない嫌われもの役カジモドで、やっぱり強烈な印象を残す。wikipediaによると、1923年の作品のほうがもっと醜いメイクのようで、内容は今作が一番原作に近いと言われている。
「レ・ミゼラブル」も暗いし、ユーゴーの小説は中世パリの生きづらさが顕著に出ていて暗すぎてつらいね。ディズニーはどう明るくリメイクしたんだろう。
オープニングとエンディングのノートルダム大聖堂の美しいステンドグラスだけは、どんなときも静かに見守っている。それはまるで万華鏡のようで、この世の理とでも言わんばかりの妖しさを放っている。