シネマスカイウォーカー

スパイダーマンのシネマスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

スパイダーマン(2002年製作の映画)
4.2
スパイダーマン三部作の第1弾
サム・ライミ監督10作目

高校生ピーター・パーカーは幼なじみのMJことメリージェーンワトソンに想いを寄せながらも冴えない学校生活を送っていた。ある日、社会科見学で研究所を訪れたピーターは遺伝子変異を施されたクモに噛まれてしまい身体に変化が現れる。抜群の運動神経に加え壁をよじ登ったり、手首から蜘蛛糸を出す力を手にする。自分に自信を付け有頂天になるピーターだったが、育ての親である叔父を強盗によって失ってしまう。叔父が最期に残した「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉を胸にピーターはスパイダーマンとしてニューヨークの平和を守るヒーロー活動へと身を投じていくのであった....



最も人気なアメコミヒーローと言っても過言ではないスーパーヒーロースパイダーマンの映画化作品。このシリーズのヒットがあってこそアメコミ圏以外の全世界でスパイダーマンが認知され愛されているといえる。監督は『死霊のはらわた』でお馴染みのサム・ライミ。オカルト映画監督がここまでの完成度の高いアメコミヒーロー映画を生み出し、アメコミヒーロー映画ブームの先駆けを作ったことには今なお驚きを隠せない。

トビーマグワイア演じるピーターパーカーがスパイダーマンへと成長していく物語を描いている。それまでのアメコミ作品とは異なりスイングシーンなどVFXを多用したカットはスパイダーマンシリーズの強みとも言える躍動感を見事に引き立てている。それまでのバットマンやX-Men、スーパーマンなどのワイヤーアクションとはひと味違うヒーロー映画に仕上がっている。バイオレンスな『ブレイド』や人種問題のメタファー的に描かれた『X-MEN』とは異なり親しみやすくコミカルで高校生という設定がそれまでの実写ヒーロー映画よりも広い層の観客の心をつかむことに成功している。

トビーマグワイアのピーターパーカーはもちろん良いのだが、本作の見どころはなんと言ってもウィレム・デフォー演じるグリーンゴブリンことノーマン・オズボーン。スパイダーマンのインパクトに負けない程のインパクトあるヴィランでグライダーとスーツも然る事乍ら、素のノーマン・オズボーンの表情と声が本当に不気味で怖い。サム・ライミだからかホラー作品顔負けの怖さが引き立っている。

ホラー出身のサム・ライミならではの演出も散りばめられている。物が身の回りを掠める時のシュッ!やブン!と言った効果音怖いもの特にゴブリンの顔などが急にアップで映る感じ、『マーズアタック』ぽく一瞬にして骸骨にしてしまうパンプキンボムの景気の良さなどサム・ライミ映画としての体裁をしっかりと成している。

愛する人よりも親愛なる隣人であることを決意するピーターパーカーのカッコ良さが沁みる。
「人生がどうなろうと僕はこの言葉を忘れない”大いなる力には大いなる責任が伴う”僕に与えられた力は僕を呪い続ける。僕が誰かって?僕はスパイダーマン」