よーだ育休中

ベイブのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

ベイブ(1995年製作の映画)
4.0
英の児童文学作品"The Sheep Pig"を映像化。CGやアニマトロニクス等の特殊効果を用いて童話の世界観を見事に表現している。

子豚のBabeは、収穫祭の景品として牧場主・Arthur Hoggett(James Cromwell)に引き取られる。妻のEsme(Magda Szubanski)はハムやソーセージが作れると喜ぶが、ArthurはBabeとの間に不思議な縁を感じていた。


無口な農場主の営むホゲット農場の日常がのんびり、ほのぼの、教訓を交えて描かれる。

冒頭の近代的な養豚場。宇宙船のように登場したトラックに乗せられて親豚たちが出荷されていくシーンや、現代的な娘夫婦家族たち(FAXを勧めたりCMで流れている大量生産の玩具がいいと駄々を捏ねる孫など)と対比され、牧歌的な雰囲気が強調されている。


牧場で暮らす動物たちが独自の社会性を持っているのが面白い。"羊と牧羊犬の(お互いに莫迦だと思っている)関係"や"ラッダイトまがいのアヒル"、"生きた豚は家に入れない"などなど。

牧場での日常を描く中で、中心的なストーリーとして牧羊犬のFlyに育てられたBabeが立派な牧羊"豚"になるエピソードが据えられている。心優しく善良なのに型破りな子豚と、巻き込まれながら徐々に影響を受けていく周囲の動物たちが非常に印象的。

"純粋な心は周囲の偏見を変える"
"礼儀正しく頼むこと"


様々な教訓に富む本作であるが、"菜食主義"や"反屠殺"への反響が強かったという。農場主を演じたJames Cromwellは出演を機にヴィーガンになったとか。

勿論そういう感想も有りだとは思う。知能が高く、従順ながらも"食べられたくない"と奔走する子豚やアヒルを観れば可哀想だと感じる。(現にベイブを演じた子豚たちが、最終的には彼らの《役割》を全うしたと知った時、少しやるせない気持ちになった。)

それでも過度に情緒的な受け取り方をするのではなく、毎日食卓に並ぶお皿は当たり前に享受出来るものじゃないんだと。命を頂くこと、生産者や作り手も含めて感謝することを知るべきなんじゃないかなぁ。