歌代

ローラーガールズ・ダイアリーの歌代のレビュー・感想・評価

4.3
"好き"の道を見つけ、没頭することでいつの間にか変化していく彼女の姿が素晴らしい!

保守的な母親を持ち、やりたくもない美人コンテストに参加させられる大人しい女の子ブリスは、たまたま知った(女性のみで行う)ローラーゲームという競技に魅了され、親には内緒で万年最下位のチームに参加する。

そこにはいままで母親が見せないようにしてた不良な人しかいません。罵詈雑言・乱闘上等。
しかし、人の温かさがある。もうあのチームが僕は大好きでした。
すごく良かったところにローラーゲームという競技の技がすべて"チームワークで1人を送り出す"というところにあります。
その姿がほんと美しい!
送り出されたブリスが駆け抜ける姿に心動かされました。

他者の存在もすごくよく描けてる作品でした。ただ受け入れるだけじゃなくて、葛藤もある。
思春期は、自立が始まる中で他者との関わり合いが一気に深くなる時期。
他者の良い面、悪い面とも折り合いをつけなければいけない。

ローラーゲームをやってることがバレた彼女は当然反対されて家出を決意。そして彼女を匿ってくれたチームメイトに「悪く言ってばかりだけど、親にも悪い面だけじゃなく良い面もあるんじゃないの?」と問われます。
その直後、母親と反対に良い面ばかり見えてた人物の悪い面を知ることになる。
落ち込んだブリスが戻った家で母親とするやり取りがほんと素晴らしい。
すごく些細なことに見えるような事件ばかりだけど、ひとつひとつが大切なこと。
"水に流す"ってめちゃくちゃいいよね。
水に流せないことの折り合いの付け方も素晴らしい。キスからの優しいビンタ。なんかあそこに色々詰まってた。

他者側の葛藤も良い。
成長していく側に対してその変化を受け入れる他者という存在をまったく無視していない作品でした。
家族という呪い、母親父親側の葛藤。
親友の葛藤。
大好物詰まってた。

母親も一方的な悪者に仕立てる作品じゃなかったのが本当に良かったです。
青春映画の傑作。

サウンドトラックもすごく良かった!
大好きなJens Lekmanがかかるタイミング最高だったなあ。
歌代

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