Jun

SPACE BATTLESHIP ヤマトのJunのネタバレレビュー・内容・結末

SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

当時の感想が熱すぎたのでのせます

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踊る3とか海猿と並んで、一生見ること無いと思っていたヤマトを、よりによって劇場に行って見る事になった。
都内でも全ての映画館で公開が終わろうかというこの時期にだ!!
「ソーシャルネットワーク」がいかに面白いかを語り合った後に、尊敬する知人が「ヤマトも逆の意味で必見」と言ったのがきっかけだったが、
それ以外にも周囲で、案外評判が悪く無い事が気になってたのもある。

CM15秒見ただけで、あれだけ明らかにつまらない事がわかり切っているのに、だ。
「悪くない」と言っていたのはあんまり趣味が合わない人達だったが、
見ないと悪口も言ってはいけない、という話も、一理あるはある。


というわけで「土曜日の夜」に「一人」で「映画館」に「ヤマト」を見る、という
「人生は無駄にこそ価値がある」を地で行く挑戦に出た。
その感想をなるべく簡潔にまとめようと努力したのが今日の日記である。

先日TVで偶然アマルフィを見てしまった事があったが、
その時は興奮しすぎてTwitterで悪口を書きまくってしまったので、
今回はなるべく感情を抑えて書く。せっかくの日曜日だし。


ちなみに僕は原作を知らない。
アニメを見たことは一度もないし、だいたいの設定と主題歌を聴いた事ある、くらいだ。
なので、原作オマージュだとか、あの台詞だシーンがどうだとか、1mmもわからない為書かない。
そもそも映画で他の作品の知識が必要とか言う時点で、
エンタメとして質が低いと思っているタイプなので、
映画はいつも、「その2時間だけでどれだけ楽しめるか」それだけで見る。

んで、早くも結果であるが、「超つまらない」。
やっぱり、誰が言おうと超つまらないし、くだらない。
今回2時間半と1800円を消費したが、これはむしろ2時間1800円のバイトにしてくれ。ただのストレスだもの。

以下に、何がどうかを箇条書きにでもしようとしたんだが、延々つまらない事をだらだら並べてもこの文がつまらなくなる。悩ましい。。。


○とにかく、この映画一番の失敗は間違いなく脚本。物凄くセンスが無い。
監督の妻が脚本書いてる時点でゲンナリだが、そんな事すら些細な問題。
とにかく人間が描けないせいで、それによりドラマが果てしなく安っぽくなる。
伏線、と思って書いてるんだと思うんだけど、
途中で明らかに違和感のある話を挿入し、後でそれが使われる、みたいなのは、伏線としてのレベルに達していない。
「パルスガン」とか「アンドウ」とか、「弾が避けるお守り」の事だが、とてもこんなの伏線じゃない。

そして台詞。キャラクターは台詞で表現していく要素が大きいが、それをわかっていないのか、昔のトレンディドラマから進化できてないような嘘くさい口調のオンパレードで、役者自身も自分の言葉としてこなせていないまま喋っている。
だから、演技のできる人ばかりが揃っていながら、途端に下手な人みたいになる。
これは役者ではなく台詞の所為。こだわる役者なら違う台詞にしたい、と言ってもいい所だが、もはや一人二人変えても仕方のないレベルなので仕方ない。

キャラクターを映画内で作れていないのは致命的で、
死ぬ人が多いのだからそこで泣かせるはずなのに、
とてもじゃないがそんな気にならない。

そのキャラが死ぬ所含めて感動シーンが山ほど詰められているが、
どれも、その瞬間だけそれっぽい音楽をつけて「はいみなさんここが感動シーンですよー」と、ただの押し付け。
死んで感動する為にはそのキャラの良さや関係性の描写、成功で感動する為にはその苦労や意義、緊張感が必要。
それを少しもやっていないので、全て白々しい。
序盤からして「はい、ヤマト発進!」「いきなり敵でーす!」「波動砲!」「敵に命中!」「ヤマ
ト無事です!かんどーーー!!!」。。。無理だって。
いくらエキストラに大げさに喜ばせてハイタッチとかさせても、観客はおいてけぼりです。以後、「ワープも脈略なくいきなりやって成功、艦内大喜び」とか、とりあえず死ぬ為に出てきた脇役を殺して落ち込み、その勢いでキス!とか、はぁ。。。

敵が地球を攻撃しようとしている時に長々と木村とメイサ喋る、喋る、抱き合う、しんみり、、、。戦闘中の緊張感がない。芝居見させられている感だけが残る。そして二人の関係も、さっきの突然キス程度できちんと築く描写がない為「あなたがいない世界なんて生きていても仕方ない!」とか、大げさな台詞だけ浮いてしまい、メイサが頭変な人みたいに見える。

そういやそもそもヤマト発進の意義や作戦の重要性がきちんと表現できていないので、常に彼らの存在に軽さが見える。実際に重いミッションを背負っているような描写が感じられず、主人公からして エゴや思いつき、「考えたってわかんないもーん」みたいな行動ばかりで、責任感がかけらもない。それで突然艦長代理に指名され、理由は「お前は兄と似ている。人の上に立つべき人間だ」。これをご都合主義という。

また笑わそうとしている場面が逐一つまらない為、毎度毎度ゲンナリ。レクリエーションルームのシーン、全ていらない。

脚本以外では、

○CGがゲームっぽすぎて軽い。戦闘シーンはXboxのFPSにしか見えない。

○ビジュアルに統一感がなく、場面場面で何かに影響された(=マネした)感が強いので、ビジュアルによる世界観の構築に失敗している。言い換えればツギハギ感が満載。

○最初の古代兄のシーンや首相会見、主人公登場など、絵作りに失敗していて、ちゃちさ(=スケール小さい+うそ臭い)満載。VFXが凄い、とかいうけどロボットの映画でFXが良かったの見たことない。仰々しいだけで嘘臭い。この感じは映画全体に出ていて、全部おもちゃの人形劇かジオラマでの特撮みたいな印象。引き込まれる説得力がない。兄死亡シーンとか、最後死んだ人が幻影になるシーンとか、もはやコントですよ。

○SPACE BATTLESHIPって題名、ださいよね?


・・・でも、やっぱり、結局話がとにかくひどすぎるだけで、後の事はまだ良い様な気がしてきた。戦闘シーンは盛り上がらないしどこかで見たことある奴ばかりだけど、予算抑え目なハリウッドか、韓国アクション映画みたいなレベルにはある。脚本さえまともなら面白くなったかも、という事を考えると、やっぱり残念ではある。


しかし良い所もあった!
一つは池内博之のキャラが元気で良い感じだった事。
もう一つは、黒木メイサの「イーッ!」だ。
多分この映画見た男のほとんどがこの映画で一番テンション上がった瞬間が、この「イーッ!」に違いない。この3秒間くらいだけで、300円の価値はあった。DVDが出たら、このシーンの為だけに借りてくる男だっているだろう。ん~、かわいい。

良い所、以上。


とにかく終始「茶番」という印象が尽きない。CGが綺麗になっただけで、物語や絵作りの骨子が古い、というか古い物を真似して作ったようなものなので、誰かが言っていた「有名人がヤマトのコスプレしてる話」という言葉が、時間が経つに連れ的を得ているように思えてくる。

ただ、これは「日本が世界に向けて作るSF大作」とか宣伝するから不誠実なだけであって、B級SF映画としては、好きな人がいてもいいんではないかと思うので、アマルフィや踊るなど、フジテレビ亀山映画程は、ひどくない。
ただ、こんなもんを褒めたり、身内だろうがファンだろうが、「感動した」とか言い出す人がいる限りは、日本の映画はおもしろくなんないなーっていう不安もある。


というわけでDVDが出た際には、TSUTAYAの100円レンタルの日にでも、黒木メイサの「イーッ!」を見るために借りてみてください。
Jun

Jun