Laura

殺しの烙印のLauraのレビュー・感想・評価

殺しの烙印(1967年製作の映画)
3.5
殺し屋の組織の内部抗争を描いたサスペンス。話としてはシンプルなのだがもちろん一筋縄ではゆかない相当に不条理な鈴木清順ワールドで、日活の社長を激怒させたらしい。そもそも米の炊ける匂いにエクスタシーを覚える殺し屋というギャグみたいな設定だが、倒錯したエロスと殺しの主題を描く手つきはあくまでシリアスだ。『けんかえれじい』もそうだが鈴木清順の世界ではギャグ/シリアス、聖/俗、東/西という対立概念みたいなものが元気に同居していて、見る側としてはそこへ至るまでの色々な不条理を納得するしかないみたいなところがある。
構造がよく分からない変な部屋で男女が睦みあうシーンはゴダールの『軽蔑』を思わせる。洋式水洗トイレの渦巻く水流はヒッチコックの『サイコ』オマージュだろうか。追い詰められる主人公の心情がイラストをオーバーラップさせて表現される表現主義的な試みも。60年代ヌーヴェルヴァーグのカルトムービー。
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