さらしな

晩春のさらしなのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.8
私が生まれたのは1990年代、この映画が作られた時代に生きていた訳ではないのに、場面のひとつひとつ、風景や音楽に、これ程までに温かな懐かしさを感じるのはなぜだろう?

父と娘仲の良い二人暮らしの親離れ子離れの物語。二人ともこの生活を大切にしているけど、娘の紀子はもう27歳、おそらく当時の婚期の盛りを過ぎていて、なのにお父さんを残していくのは心配だし、今の生活が大好きだから結婚する気が全然ない。一方、お父さんも娘と一緒にまだまだいたい反面、もういい加減手放さなくてはいけないとも思っている。

今の時代の結婚観とはだいぶ違うけど、親子が離れてそれぞれの新しい生活に向かっていくこと、そのためには避けて通れない別れの悲しみは、時代を問わず共感できる部分である。
そして、その悲しみも、生活の中の楽しさも、ゆったりとした時間の流れが淡々と過ぎていく様は、やはりノスタルジーを感じさせる。

紀子さんのちょっと西洋風な顔立ちの美しさ、「娘さん」感、あまりにもキュートで、こちらも時代を問わず、素晴らしく可愛らしい。確かに、こんな娘がいたらお父さんも手放したくないだろうなぁ。
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