けいすぃー

晩春のけいすぃーのネタバレレビュー・内容・結末

晩春(1949年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

さまざまな想いが行きかう。言葉にされているものいないもの、態度に表れているものいないもの、それらはまるで龍安寺の石のようにすべてが同時には見えないのだ。

父の娘を嫁にやりたい思い、娘を手放す寂しさ、娘の想いが見え隠れするなかで娘についた嘘。最後のシーンの物悲しい背中が多くを語っていた。
娘は父を心配する気持ち、母を思う気持ち、離婚した友人を見て感じる結婚への希望のなさ、再婚した伯父へ感じる軽蔑、それと重なる父。素直になれないなかでも懸命に葛藤する姿が健気であり、最後まで父への愛が感じられた。

撮影や演出もやはり素晴らしい。
いわゆる小津らしい見事な構図と遠景近景の作り方は言わずもがな、人物の配置とその動かし方が巧みだった。それによって繰り広げられる会話の内容も効果的に変化していた。
けいすぃー

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