まや

晩春のまやのネタバレレビュー・内容・結末

晩春(1949年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

小津監督作品で気になった作品なので鑑賞。だいぶこちらも涙が止まらないほど心に染み渡った。

本作も自分が観たいものをというか知りたいことを教えてくれる作品だった。

父親が娘との最後になるであろう旅行で幸せとは待っているだけではやってこないのだ。と説くシーン。本当に感動した。結婚すれば幸せになれるみたいなものって今でもあると思う。まるでそれがゴールのようにしている人がいるが(自分もその時期があった)それは始まりであるのだなと強く思った。2人で幸せを作っていくんだよと優しく諭す父親。なんて素晴らしいんだと思った。確かにこんな素晴らしい父親なら離れたくないよなと強く思った。また、最後のシーンで明かされる父親が言った嘘。そのシーンでは顔が引きつっていたが、それがここで種明かしされるとは。恐れ入るなと思った。家族って素敵だなと思ったし娘を大事に思う気持ちがすごく伝わってきた。

小津監督作品に出てくる男性ってみんな優しい感じがして好き。女性も上品で芯のある凛とした感じの方が多く出てくる。だから出てくる人間、みんな好きになってしまう。また、この時代にすでに結婚が幸せだということを言わず、幸せを作り出すものなのだと伝えるなんて。小津監督は生涯結婚をされなかったようだが、何故ここまで人生の真理を理解しているのだろうとすごいなと思った。

現代はなんとなくみんな損得で生きている気がする。男女平等が違った意味として進んでしまっているような気がして、どんどん個人化していく冷たい感じがするからこういう思いやりのある人々のつながりを見て、すごく暖かみを感じた。そんな映画がとても沁みるなと思った。
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