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晩春のmaiのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.2
初!小津安二郎!
最高でした。父と娘のお互いへの思いやりに温かくなり、そしてその別れに寂しくなり…日本映画の魅力を感じた気がします。

母がおらず、父と娘だけで支えあって生きてきた二人。
娘は「父には私がいないと」と思い、父は父で「結婚してほしいけれど、いざ結婚となると寂しい」という思いを抱えています。
母がいないという点は大多数に当てはまる設定というわけではないですが、その他の父から娘、娘から父への思いってかなり普遍的なのかなあと思います。その思いやりは美しくも感じるんですよね…そして出てくるキャラクターたちの魅力にやられます。主人公親子はもちろんのこと、友達も若者感があっていいし、父の友人もおじさんらしくさ全開でいい。
ただ、やっぱり原節子はズルい…茶目っ気ある感じが可愛すぎる。
特に、この映画はカメラがあまり動かず、鑑賞側がカメラのファインダーを覗いてるような気分になってくるカメラワークだからこそ、尚更その美しさが際立ってる気がします。

そしてラストシーン。
哀愁漂う感じと、最後の最後で余韻を残していく感じがたまらなく好きでした。それまで「結婚するんなら歓迎するよ」と気丈にふるまっていた父の本音が透けて見える感じ。

今では、問題あり!と糾弾されるかもしれないですけど笑、結婚ということに関して家のことや自身のこと、親のこと…ストーリーの動き自体はビックリするくらいゆっくりなのに、ゆるい会話が妙に居心地よくって、そしてそんな会話の端々に反映されている結婚観というものが興味深くもあって。

次はどの小津作品を鑑賞しようかな…と今からワクワクします。
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