金魚鉢

ザ・フライの金魚鉢のレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
4.0
ハエと遺伝子レベルの融合をしたことで天才研究者の体と自我が蝕まれていくホラー映画であり、愛した男が徐々に怪物と化していく哀しきラブストーリーである。作風を変えればスーパーヒーローでも誕生しそうな夢の装置だが、数ある生き物の中から紛れ込んでしまったのはよりにもよって蝿。体の変貌過程においては糖分を過剰に欲する描写やステイシスを消化液で溶かす行動に反映されていて、セスの理性が効かなくなり暴走する中で蝿の特徴が上手く盛り込まれている。唯一無二なクローネンバーグワールドが炸裂していて、彼の刺激満載なゴア描写とリメイク元とである1958年公開のSFホラー『蝿男の恐怖』との相性の良さを感じさせると共に、その手加減無しのあまりに惨たらしい姿の変貌ぶりから切なさの残る一作でした。
金魚鉢

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