金魚鉢

ビューティー・インサイドの金魚鉢のレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
3.6
『変わらない部分だけを見つめる難しさ』

目が覚めると昨日とは別人の姿に変わるという能力が恋愛におけるハンディキャップとして描かれている。毎朝アイデンティティがリセットされるような喪失感があり、顔が毎日変わる特性のせいで周りの人と深く関われない男の苦悩を主軸に物語が進んでいくのが斬新。"外見にとらわれず内面を愛してくれるか"というありきたりなメッセージにとどまらず、日替わりの姿を受け入れてもらえるか、周囲には言えない誤解からくる悪い噂に耐え続けられるか、居なくなったら自分からはニ度と探せない恐怖など、対ウジンとの恋愛限定の障壁のところにオリジナリティがあって、かつ現実的な範囲で描かれているのが良かった。逆に言うと映画自体の設定は突飛で、この物語上でしか起こり得ない悩みの連続だったので共感できるような箇所は少なく、終盤にかけてどんどんイス側が可哀想に映るだけになってしまった。
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