Omizu

ザ・プレイヤーのOmizuのレビュー・感想・評価

ザ・プレイヤー(1992年製作の映画)
3.4
【第45回カンヌ映画祭 監督賞、男優賞】
『ナッシュビル』などの群像劇の名手ロバート・アルトマン監督作品。カンヌ映画祭で監督賞と男優賞を受賞、アカデミー賞でも監督賞他全3部門にノミネートされた。

アルトマンはイマイチしっくりこない監督。「しっくりこない」という言葉が一番合う監督かも。やりたいことは分かるし「よくできてるなー」とは思うけどそれ以上の感想があまり抱けない。

本作もそんなアルトマンのイメージを払拭してくれるものではなかった。いや、すごくよく出来ているし適度に散りばめられた謎も興味深い。のだが…

ティム・ロビンス、ウーピー・ゴールドバーグ、シェール、ジュリア・ロバーツ、スーザン・サランドン…これ以上ないほどの豪華キャスト。映画業界をモチーフにしているだけあり他にも本人役で出てくる俳優たちの何と豪華なこと。

物語自体はサスペンス仕立てで、謎のメッセージを送られているプロデューサーが主人公。このプロデューサーがまたタチの悪い奴。自分を保身して世間を舐め腐っている感じ。決して他人事ではないし、今の時代も全然こういう人いる。

散りばめられた謎の数々には惹かれるしアルトマン式群像劇としてよく出来ている。アルトマンと同じくらい群像劇を上手くコントロールできているなと思ったのは『マグノリア』のポール・トーマス・アンダーソンくらい。

オチの後味の悪さもいいしクオリティは高いのになぜアルトマンにはハマれないのか。それが分からない。主人公が徹頭徹尾悪い奴だからというのも考えたが、それで好きな作品は山ほどあるしな。なんでだろう。

本作もそこまで好きな作品にはならなかったが、アルトマンの演出手腕を見せつけられる作品であることは確かだ。
Omizu

Omizu