冷徹、陰鬱、寡黙なニヒリストのイメージだった岡田-人斬り-以蔵を、よりによって正反対の豪放、快活、破天荒のイメージである勝新が演ずるとあって、さすが幅がある役者なのだと期待したが、そこはそれやはり勝新太郎のままだったという傑作。好みで言えば『勝海舟』(1974年・NHK大河ドラマのショーケンがやはり好き。
とはいえさすがさすがの五社監督、しっかり作りこんでいる。監督の癖である女性側が今回は単純だし、歴史ものとするとあまり面白みはないのだけど。ここは勝新の存在感、それだけで十分引っ張っていってくれるのだ。
こなれているようでどうしてもシロートな三島由紀夫も微笑ましい。最後割と意味なく片肌脱ぐのは筋肉を見せたかったのか、監督の忖度なのか興味あるな。