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人斬りのmitakosamaのレビュー・感想・評価

人斬り(1969年製作の映画)
3.4
五社英雄では御用金よりもこの“人斬り”の方が好みだったな。
フジテレビによる大作映画第二弾。勝プロ制作第一弾。
原作は司馬遼太郎の“人斬り以蔵”。

人斬りー岡田以蔵が勝新太郎。一般的なスマートなイメージじゃなく、かなり泥臭くて人間味溢れるキャラクター。
武市半平太が仲代達矢。土佐勤王の倒幕派として冷静冷酷な策略家。以蔵を利用してポイ捨てしちゃう。
田中新兵衛が、なんと三島由紀夫!!!すげーマッチョ!
坂本竜馬が石原裕次郎。嘘ぉん。コレが一番似合ってねぇ。

以蔵が無知・無学だが腕っ節は強い不器用な男で、武市が飼い犬のように扱う様が非常に上手く描けてる。勝・仲代は安心してみれる。
それ以上に異彩を放つのが、三島の新兵衛。結構演技上手い。というか勝新含めバックアップが相当良かったらしい。この辺の裏話は色々調べると面白い。
問題は裕次郎だよ。何を演じても裕次郎以上でも以下でもない。

この映画で龍馬の役割はとっても大きかった筈なのに。武市に心酔する以蔵が龍馬の影響で一時趣旨替えをする。コレにより武市が正義の人でなくなり、頭はいいが思想の偏った単なるテロリストとなる、重要な場面。
故に、龍馬にはもっと説得力欲しかったなぁ。裕次郎、目張りだけは人一倍なのに。

武市に正義を吹き込まれ人斬りを重ねる以蔵だが、あっけなくその武市に裏切られてしまう。

そして三島よ。田中新兵衛は三島の祖先に縁があるらしい。そんな役どころを嬉々として演じる三島。三島の演技も映えるが、それ以上に素人の三島を若い剣士役に上手くはめ込んだ周囲のセンスだと思う。
最終的に新兵衛は切腹する。これが三島本人の割腹事件の1年前!!!
また上半身裸の三島の筋肉よ。特に三角筋。

武市を売った金をなじみの遊女(倍賞美津子)の肩代わりにし、以蔵は張付けになる。無様だが格好良い死に様。
三島の切腹と良い、男の子の憧れる格好良い死に方映画ですな。
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