TaiRa

フルスタリョフ、車を!のTaiRaのレビュー・感想・評価

フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)
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『神々のたそがれ』より観やすいけど充分にカオティックでグロテスク。

話は途中でよく分かんなくなったけど、まぁスターリン体制末期のムードさえ把握出来ればいいのかな。一応、史実にある事件を扱ってるそうだがさっぱり理解出来なかった。とにかくオープニングから矢継ぎ早に繰り広げられる意味があるのか無いのか分からない動きの連続で面白い。カメラも素直に動きを追う。帽子を上に投げるとカメラもティルトアップするみたいな。家の中のぐちゃぐちゃした美術も人の忙しない入れ替わりも観てるだけで楽しい。一番カオスなのはやっぱ病院。『神々のたそがれ』に一番通ずる場面かな。何でもない人間が画面上で無意味な動きをしたりする。画面内を漂う蒸気とかモノクロ撮影に映えてカッコいい。その辺はリンチや塚本晋也っぽい。笑いの要素とかはモンティ・パイソンというかテリー・ギリアムというか、なんかコントみたいなとこもある。ひとりでに開く傘とか妙に可笑しい。主人公の将軍が『ブロンソン』の時のトム・ハーディそっくり。時代に翻弄される人間で、酷い目に遭いまくるけど、妙に軽さがある。タイトルの発言って実際にあったのかな。スターリンの死の直後の言葉。終わりの始まりを告げる言葉。ラストのエピソードは10年後って事なんだね。説明とかないと思うけど将軍はヤクザのボスになってるみたい。
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