ねむ太郎

ベニスに死すのねむ太郎のレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
3.6
息を飲む美しさとはこのことか…
きっと人生で初めて「息を飲む美しさ」を体験したのではないだろうか
スクリーン越しでこの破壊力
生のビョルン見たら心臓発作でしにそうだ笑

萩尾望都もそら影響受けるわ…
萩尾望都の漫画に出てくる美少年たち、ビョルンとイメージぴったりだもんなぁ

冒頭からマーラーの美しい音楽から始まる
この曲、母が好きで見てたドラマ「白い影」でテーマ曲になってたので最初からノスタルジックな気持ちになって切なかった

全体的にセリフが少なくてビョルン美少年に心奪われた老男性がストーカーまがいに彼を見つめ続ける…もう恋してるよなぁ

あとビョルンと出会うシーンでメリーウィドウの「唇は語らずとも」が流れていた
個人的に思い出もある大好きな曲…
このシーンとこの曲、ピッタリだった

ビョルンが海から出て白いバスタオルを無造作に羽織って歩いてるだけで「ここは古代ローマか!?」と錯覚させられた
歩いてるだけで…そんなことができる人間が他にいるのだろうか……

彼がスクリーンに映る度に自分も彼に恋しているような気持ちになりながら見た
この映画、何度もビョルンと老男性が視線を交わすのに一度も触れることも言葉を交わすことも無い…すんげぇ焦らすと思ってたらまさかの交流無し
すごい映画だわ…

そしてビョルンは登場からずっと主人公を誘ってる雰囲気を出してるんだよなぁ、10代ほどの少年に翻弄される年老いた男性…て構図が凄かった

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と、ここまで映画を見た感想だが、この後にビョルンについていろいろ調べたらとても複雑な気持ちだった
彼はこの映画をきっかけに性的に搾取される人生だったと…

彼の周りに、一人も愛を持って手を差し伸べる大人が居なかったことが本当に苦しいなと思った
親も祖母もみんな愛のない人間たちで、ビョルンがよく非行や犯罪に走らなかったなと

彼が求めるものは純粋な愛だけだったのに
ねむ太郎

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