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ベニスに死すのARANのレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
4.2
若さと老い、生と死、純粋と不純、希望と絶望を対比させて人生観を問う小難しい作品。テーマも奥深く映画自体も全体を通して起伏なく静かな印象なのでつまらなく感じる人もいるかと思うけど、その心配を全て消しとばしたのがタージオ役のビョルンアンドレセン。とにかく美しすぎる。今みで見てきた俳優の中で一番美しい。特に芸術とかに精通してるわけではないけど誰が見ても美しいと思う顔立ちだと思う。完璧な美を努力によって創り出すというアッシェンバッハの信念をいとも容易く打ち砕いたのも納得。とにかくこれまでかって程の対比を映し出す作品で最後のシーンなんかは前述した対比の要素を全て含んでた。老いを隠すために無理やり黒染めをして化粧もした死にかけの醜いアッシェンバッハと、水面が煌めく海の中で太陽の光に包まれ空高く指を指す若くて美しいタージオ。これほどまでに残酷な対比だけれどアッシェンバッハはどこか嬉しげな表情。究極の美を求めた芸術家として幸福なラストだったのかな。
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