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花の生涯〜梅蘭芳(メイ ラン ファン)〜のhiのレビュー・感想・評価

3.6
「さらば、我が愛、覇王別姫」のチェンカイコー監督による、実在した京劇の名俳優、梅蘭芳の物語です。

映画覇王別姫のファンとしては、そこまで評判の良くない本作は、勝手に封印していたのですが、結果、観てよかったです。

実在の人物なので、やや抑え目な演出が多く、クローズアップされているのは舞台の上の姿よりも、役者以外の人間的部分です。映画覇王別姫ファンには少し物足りないかもしれません。そもそも、人物の特徴が、覇王別姫の時とは全く違います※蝶衣(レスリーチャン)は激しい愛に生き、現実と舞台の上の役を同時に生きている(混同)のに対して、梅蘭芳は、全くその逆で、舞台を降りている時の話が主体となっています。(舞台を降りたら1人の男であると語っている)

歴史的背景や中国と日本の関係、梅蘭芳が北京の人間にとってどんな人物で、どんな意味を持ったのか。それが彼にとってどんなに重いものだったのか、、、その着眼点は面白かったです。

ただしかし
どうしても同じ監督ですし、時代背景も雰囲気もサントラなど、覇王別姫の雰囲気を纏っているので、あの激しいドラマを求めてしまうのですよね。
運命の恋人(チャンツィー)との演出も思ったよりあっさりめです。恋に人間ドラマを寄せないならもっと義兄との話をより膨らませても良かったのでは思ったりはしちゃいました。※結構狂人的ですし、タキシード姿の時カッコ良いし映える俳優さんでした良い配役◎

何より青年期の梅蘭芳役のユィシャオチュンの輝きが素晴らしく、この映画の1番煌びやかな部分を担い支えている様に思いました。この映画につき8ヶ月に及ぶ特訓で京劇を学んだユィシャオチュンですが、8キロ痩せただけあって華奢で可愛らしく何より表情が素晴らしかったです。

また、
中年期を演じたレオンライの代わりに女型の代役を、映画覇王別姫の少年時代の役者さんが演じてるそうで、この映画の重要なシーンでも役者としても出演しています。京劇の役者さんになってるとのことを知り、そういう意味でも、観れて良かったと思いました。レオンライは、、、抑えた演技なので、難しかったのだろうけれど洋服で歌う時チャンツィーの方が輝いちゃってましたね、、、物静かな役はとても難しいからなぁ、、、。
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