スローターハウス154

遠い空の向こうにのスローターハウス154のレビュー・感想・評価

遠い空の向こうに(1999年製作の映画)
4.6
2017/9/24

中高生に観て欲しい映画..
この季節にぴったりな映画。ぜひとも手元に置きたいスルメ映画!
希望が沸くような映画を観たのは久しい気がする。これが実話というのがまた胸熱。心惹かれるものを追い続けていこう。。

炭鉱現場の頭である父の後継という圧力に揉まれ、一度状況に屈して炭鉱夫となる主人公。地下へのエレベーターの中で、ロケット作りの夢を捨てきれずに見えなくなるまで星空を見上げ続ける..
逆に、優勝メダルを持つ誇らしげな息子の姿をそのエレベーターが視界を遮るまで見つめ続ける父..
父親の気持ちもよーくわかるのが良いね。
あんなに子供に圧をかけるのは、自分の人生を否定されんとするためなのね...彼も主人公のように一瞬でも夢見た時期があったのかもな..あるいは夢を見ることが許されない青年期だったのかしらと考えてしまう。そういう過去からくる息子への嫉妬心もなくはないだろうね。

そういやこの映画『リトル・ダンサー』に似てるかも。父親が坑夫で後継を迫られつつも自分の夢を追い続けるうちに実力がつき始め、やがて周りも応援してくれるようになりついに父親も..という感じが。そして何より実話であるという説得力が。初期段階から興味の芽を育ててくれる人がいるって大事だ。
炭鉱モノはなぜこうも名作が多いのか。死と隣り合わせで地下で働く閉塞感と栄華の終焉という退廃感が、"新たな希望"と対比させ易い象徴だからだろうか。そこで働かざるを得なかった大人たちにとって夢に邁進する主人公達はまぶし過ぎる。自分達はこの子らの布石となって支えていくのが役目だと気付くのは確かに悲愴だ..

そーんなこと考えてたらまた『リトルダンサー』、観たくなってきた。