丹叉

炎628の丹叉のレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
4.7
見てはいけない物を見てしまった.......

どの映画批評媒体でも群を抜き最も高い評価を受けている戦争映画である炎628

個人的には戦争映画の中でプライベートライアン、ダンケルク(1.43:1フルサイズ鑑賞限定)と同率1位

娯楽映画的な都合良い物語は一切無く、ナチスドイツが白ロシアに対し行なった圧倒的絶望的虐殺をここまでやるかと言わんばかりの徹底した現実主義で見せつけられる。戦争映画と言う題材それ自体最も刺激的で面白い題材である故戦争を誇張する演出は必要なく如何に現実的に描くかを追求すると自ずと臨場感没入感が増し戦争の自の面白さそのものが現れより一層面白くなるのが分かる。

森、霧、雨、集落といったソ連映画的な自然描写はやはり神秘的で荘厳さを感じさせる。

頭上すれすれを通過する戦車から放たれた砲撃や周囲に降り注ぐ爆撃など、あまりに現実的過ぎて恐怖を感じるほどである。それは視覚的にはもちろん音響効果、具体的には爆撃後耳鳴りと同時に聴力が下がる現象を再現した演出もその現実感に大きく貢献していた。明らかに巷の戦争映画とは質が違う。後からこの作品は銃撃含め実写による撮影だった事を知りその現実感に納得すると共に、どうやって撮ったのだ危険過ぎないかと別の恐怖を感じる。

欲を言えば、もう少し銃撃、爆撃、戦闘シーンが欲しかった。このあまりに現実的で刺激的な体験をもう少し味わっていたかった。その点大予算娯楽主義戦争映画の方が優ってる。
丹叉

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