うどん権

炎628のうどん権のレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
4.0
第二次大戦においてナチスドイツに占領された白ロシア(現ベラルーシ共和国)で虐殺に巻き込まれたパルチザンの少年を描く。
タイトルの628の意味はラストで語られるが、知ったときはゾッとした。

迫ってくるようなカメラワーク、突き刺さる俳優の鋭い視線、不気味な情景、不快な音響(たかる蠅の羽音、人々の悲鳴、虐殺者の笑い声等)で見ていて気が滅入ってくる。特に最後の30分は壮絶。
戦争の狂気にさらされるたびにどんどん老け込んで死んだような顔になっていく主人公の少年の演技も凄まじい。

派手な戦闘やグロテスクなシーンはほとんどないにも関わらず、戦争の地獄をここまで真に表現した作品は記憶にない。


全面に押し出された反ナチ思想、そして作成が旧ソ連時代ということも考えると、若干のプロパガンダ臭を感じる人もいるだろう。だが第二次大戦下にナチスドイツがロシアに侵攻し反共と称して多くの民衆を殺害したことは紛れもない事実であり、加えてナチへの復讐心からロシアの人々までも狂気に支配されてしまうシーンも描かれているので、単なる愛国・反ナチプロパガンダ映画にとどまるようなものではないように思う。これは戦争そのものの狂気を描いた作品である。
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