調伏系V魔虚羅

炎628の調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
4.9
1943年、白ロシアを舞台にナチス・ドイツ占領地で戦争という永遠に繰り返される暴力に翻弄される1人の少年を描く。
戦争に出陣するということに夢抱き、笑顔に満ちていた序盤の少年の顔は消え去り、凄惨過ぎる現実を目にし、後半はまさに初老のような顔につきになっていくのが嫌でも印象に残る。どうやったらあんな表情が作れるのだろうか、凄すぎる演技力だ。
終始、為す術もなくただ傍観者と化している事実も悲しかった。少年なりの抵抗はしていたつもりだったのだろうが、目を背けたくなるほどに凄惨で残虐非道、無限に繰り返される暴力行為の連鎖には敵わず。最後には少年もその連鎖反応の一部になってしまう。暴力が生むものは暴力だけ、この映画を観て痛感致しました。
私の中で、戦争の恐ろしさ、人間の汚く、醜悪で愚かな部分をこれでもかと描写した戦争映画は後にも先にも、この映画以上のものはないと思います。間違いなくこれは戦争映画というジャンルの頂点に君臨する傑作だ。
調伏系V魔虚羅

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