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善き人のmhのネタバレレビュー・内容・結末

善き人(2008年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ナチスドイツに関する様々なトピックを盛り込んだエンタメドラマ。
国民に浸透するナチズム、ナチスドイツの焚書、T4作戦、クリスタルナハト、レーベンスボルン、ユダヤ人問題の最終的解決、絶別収容所の様子。
ざっとこのあたりが、時系列を無視して浅く語られるので、史実でトレースしようとする勢にとっては残念な構成。元は舞台劇とのことで、そのあたりを加味して鑑賞するタイプの映画。
「ナチス第三の男」のハイドリヒが奥さんの影響でナチズムに走ったのと同じパターンでこの映画の主人公(ヴィゴ、大学教授)も入党する。
かわいい顔してゴリゴリのナチズムとか笑えないけどアーリア人サイドからだとそっちのほうがマジョリティー。
ナチス親衛隊に入ることで様々な恩恵(学部長になったり、ユダヤ人の住宅に引っ越したり)にありつく主人公。
知識人、文化人とはいえども、時代の潮流には逆らえないことを具体的に示してくれる。
英語版Wikipediaにはナチ党員だったハイデガーと、その恋人ハンナアーレント(ナチズムから逃げてアメリカへ亡命)にもリンクがはってあるのが面白い。
思うに任せない状況になると、その辺のひとたちが合唱し始めるという設定がいいね。この演劇的な処理はラストの伏線にもなってる。
切符売りの駅員の煮え切らない対応とか、ドイツ語設定の英語は許せてるけど「ファッキンナチ」はどうなんだろうとかのストレスもあるんだけど、そのあたりは割り切って楽しめた。
「これは現実だ」と絶滅収容所の楽団に涙している主人公にユダヤ人たちの悲鳴が届いてないという、シリアスエンドがめちゃ決まってる。
それと、ゲッペルスの隣にいた女性はレニだったのかも? 仲良かった時期は短いはずなので、普通に考えたら違うんだけどな。
面白かった。
mh

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