バナバナ

さまよう刃のバナバナのレビュー・感想・評価

さまよう刃(2009年製作の映画)
3.2
日本バージョンの方です。

ストーカー法が出来ているにも関わらず、各地の警察署に被害届を出しても守ってもらえずに殺された人や、
最近のいじめ問題でも、ひどい暴行や恐喝も受けて何回も警察に被害届を出しに行ったのに受理してもらえずに死んだ子供など、法律そのものだけではなく、とかく日本では被害者に「我慢せい」という体質が、まだまだ根深く残っていると思う。

いじめ問題の街頭インタビューでも、もし我が子がいじめられたら、の問いに対し、
「問題がこじれたら嫌だから、大げさにしたくない」という回答も多かったが、
自分の子供が大怪我させられたり、死んでからでは間に合わないのに、よくそんな事言えるな…と思う。

という事で、原作ではどういう書き方をしているのかは分からないが、日本の現状が上の様なだけに、この映画のラストは空々しさが残るだけだった。
だいたい、あれで反省するような人間なら、人を人とも思わない凄惨な所業など、最初からしないだろうから。

そこで、この点数は二人の刑事の対比に対して付けた。
若い刑事は父親に共感してしまうが、年配の刑事は「父親に罪を犯させてはいけない」と言いながら、自分の職務は全うする。
本当は独身の若い刑事より、おそらく既婚者で子供がいるであろうベテラン刑事の方が、この父親の気持ちが分かっていた筈なのに。
そして、最後の種明かし…。

それはベテラン刑事にとっては、かなり後味の悪い結果となるのだが、そもそも責任を全て背負う覚悟がなければ、あの行動は取れない。
この刑事は心の底では、自分の罪の重さを自覚しながら生きていくのだろうな。
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