ヤマニシ

リトル・ミス・サンシャインのヤマニシのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 良い。なんだかうまくいかない現実と闘う家族の話。自殺未遂やら経済的な不安やら内向的でコミュニケーションのとれない長男やらセクハラ覚せい剤ジジイやら、問題ばかりではあるが末の娘の夢のため団結する姿がいじらしい。物語が終わった時点で大体の問題は解決しておらずこれからどうしようという感じだが、それはそれとして娘を応援しやるだけやりきったのでヨシ!という潔さがいい。生きてりゃなんとかなるさ。(ジジイは死んだが。)誰一人負け犬ではない。
 個々の登場人物のキャラクターが濃く、ジジイはろくでもないが、その息子である父親も子供を自分の支配下に置こうとしたり、息子も一言も発さない誓いを立てていたりとクセが強い。とはいえ、全員が芯から嫌なヤツではなく、特に長男は妹のことを大事に思っていたり、家族のことを表面的には嫌っているものの本当は愛していたりと思春期らしい一面もあって好感が持てた。父親も妙な行動力があるところは好き。
 合間合間にコミカルなシーン(車が発車するときに皆で押さないといけない、警察に停められたときにエロ本が見つかる、とか)が挟まるので、登場人物が直面する重たい問題の割には気楽に見れる。ラストのダンスシーンも底抜けに明るく、直前で不安を煽っていたものの楽しく見れた。
 まったく本編と関係ないが、見終わるまでなぜか最近の作品(2020年以降)と勘違いしていた。何と間違っていたんだろう。
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