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横道世之介のtheocatsのネタバレレビュー・内容・結末

横道世之介(2013年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレ
時間軸入替え多用が散漫化を招き全て台無し

映画中盤で種明かしがされ主人公横道世之介:高良健吾が「新大久保駅乗客転落事故※」の当事者であることが匂わされる。※ああっ、あの事件かと思い出し視聴後に検索

しかし、なぜあの段階で種明かししたのか意図が分からずエンドまで尾を引きずることになる。
それ以前にも当時付き合いのあった人間が現代において横道世之介を懐かしむ、といった場面を何度か断続的に挿み込むがそのタイミングにも納得できていたとは言えない。

その怪訝な時間軸入れ替えの他に、そもそもの主役:横道世之介の大学生活の余りにも冴えない平凡さにこちらが戸惑ってしまう程。
よって主軸ストーリーでもあるお嬢様学生:吉高由里子とのラブロマンスも甘酸っぱいと言えばそう言えるが、ギクシャクした不釣り合い感が印象として強く伝わってきてしまい、恋の進展具合にも今一つ共感できないもどかしさが終始付きまとう。

謎の隣室住人との唐突なエピソードが横道世之介をカメラマンの世界に誘ったということらしいが、彼が大学卒業後カメラマンとなりその後の経過とあの事件の描写をそっくり省略してしまい、それでエンドとなってしまったためにどうにも見ている側も落としどころがつかめずただただ困惑するばかり。

そして悪いことに、視聴後の調べでは名前がフィクションだし、はたしてあの新大久保ホーム事故の当事者の人生をリアルに描いたものかそれともかなりのフィクションなのか全くわからないということ。加えて彼の事を描くのであればもう一人の当事者である韓国人留学生についても触れぬなら片手落ちではなかろうか? という疑問も生じてしまう。

いずれにしろ、これは原作者吉田修一氏の母校でもある法政大学を舞台にして、彼の故郷でもある長崎もロケ地とした、散漫でありながらひどくこじんまりとした冗長過ぎる大凡作という感想ですね。

もし最初に現代パートを集中させ横道世之介の思い出を各自に語らせ、彼の過去パートを集中描写、そしてラストあの事故場面で締め、全体的に冗長さを排したならば、ベタな素人的考えかもしれないとしても観客側の困惑はかなり減ったのではと思われる。



総評一つ星

002008
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