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横道世之介のこまちのレビュー・感想・評価

横道世之介(2013年製作の映画)
4.8
横道世之介の大学生時代と、彼と関わった友人たちの将来とを交互に描いている。
話がつながっていくのが面白いし、色んな人の中にある世之介を感じられる。クスッと笑えるユーモラスさもある。
1人の人生が描かれる中で、本質的だけど普遍的な人生の喜びに触れられるようだった。

世之介は学生時代仲良かったに過ぎない人物だけど、ふとした時に彼との特別な思い出を思い出して笑顔になれる、そんな存在。
普通の男子大学生だが、気さくで思いやりがあり素直でピュアな青年。真剣な話には親身になってくれるし、彼の何気ない言動が周りの人物の将来に影響を与えていたりする。

どの人物も魅力的だけど、吉高由里子演じるお嬢様の祥子ちゃんが印象的。世之介は祥子ちゃんに気に入られて付き合うようになり、キスやハグさえも 失礼します… と構えたり照れあったりあまりにも微笑ましい。
世之介がサンバサークルに入っていることを聞いて、お嬢様とは思えないほど爆笑する祥子ちゃんにつられてめっちゃ笑った。


私も昔よく話してたけど全然会っていない人たちはどうしてるのかなってたまに思い出すように、私もこうして誰かに思い出して笑顔になってもらえてたら嬉しいな…なんて思った。


ちょうど人生の段階が変わる前に友人との距離を感じてしまったことが最近あったから、よりこの作品が沁みた。
高校時代の唯一の親友だと思っていた人がいよいよ社会人で上京することになり、元々コロナであまり遊べなかったのもあって、色んな意味で寂しくてこの前少し会っても全然上手く話せなかったし、院に進むまだ学生身分の私とは余計に距離を感じてしまって、会うの最後になりそう…こうやって離れていくのかって悲しくなって…

この映画を見て、人生ってそんなもんだけど、それでも愛しいものがどこかに転がってるって言ってくれてるようで心がほぐれた。

向こうは私になんか興味ないかもしれないけど、たまには思い出してくれるといいな。


こういう人生や日常に寄り添ってくれるような作品が大好きなので出会えて良かった。記念すべきmark400本目。
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