TaroSonoda

横道世之介のTaroSonodaのレビュー・感想・評価

横道世之介(2013年製作の映画)
5.0
大学生の横道世之介と彼をとりまく人物たちの青春映画。
ひょっとしたら僕のオールタイムベスト級の邦画作品かもしれないです。久々にグサっと心にきました。

まず主人公である、高良健吾さん演じる横道世之介がとにかく魅力的でした。不器用で空気読めないけど、いつも笑顔でどこか惹かれてしまうそんな人物です。ヒロイン祥子を演じた吉高由里子さんも、少し天然なお嬢様学生とクールな大人になった祥子を上手く使い分けていて、女優って凄いなぁと思いました。でもお嬢様キャラの方が好き。可愛いすぎる!!笑
他の登場人物もみんな優しい人ばかりで、物語に温かみを与えてくれています。

この映画、平和な一大学生の物語であるため、大したドラマは起きず終始のほほんとした穏やかな雰囲気です。しかし、細かい仕掛けや伏線などが多くあり、意外にも骨太な脚本です。僕も早く二度目を観て答え合わせしたいです。

この作品ではノスタルジックな雰囲気の大学時代と、世之介と親しかった人たちが彼を思い出し懐かしむ現代の二つの時代を交互に描かきながら物語が進んでいきます。この設定も後半の重要なファクターとなっています。

物語前半では、世之介の入学から友人とのよくある大学生生活が描かれています。(現に大学生である僕にとっては、あまりにも会話などがリアルなため何だか息苦しくなりました…笑)
一方後半では、祥子との出会い、そして彼女との恋模様がメインとなっています。物語自体は明るいのですが、とても切ない気持ちになりました。これは観た人ならよく分かると思います。病院に一緒に居たメイドさんは、もしかしたら観客の視点なのかな(?)

撮影面では、効果的に長回しや俯瞰ショットが多様されており、綺麗な作風となっています。
特にラストの遠景ショットからの長回しのシーンでは、「横道世之介」という人間またはこの物語を上手く表している素晴らしいシーンだと思います。切ないんだけど何故か笑みがこぼれました。アジカンの主題歌もこの映画にぴったりの良曲だと思います。

この映画は、宣伝のキャッチコピーが全てだと思います。誰にでもあった青春時代をどこか思い出させてくれる素敵な作品です。

僕も残り2年間の大学生活ですが、世之介のように友人が僕のことを思い出した時、ふと笑ってくれるそんな学生になりたいなと思います。

世之介さーーーん!
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